誰にでも潜んでいる攻撃性「星影さやかに」で学ぶ

古内一絵

どんな人格者であろうと、踏み入れてしまう心の闇

本のデータ 

著者 古内一絵 文藝春秋
発行日 2021年6月10日

どんな本なの?

戦時中、近所から「非国民」と呼ばれる父親を恥じ、
立派な軍国少年となるべく日々を過ごしていた良彦
それから終戦を経て約20年後、
良彦の元に父の遺品の日記が届く。
なぜ父は心を病み、非国民と呼ばれたのか――
本当に正しかったのは誰だったのか――
そして、良彦の家にまつわる数奇な運命とは――

激動の昭和を生きた親子三代の記憶が紐解かれる。

(文藝春秋BOOKS 公式サイトより)

時代は、昭和39年の東京オリンピックの時代から始まります。

主人公の良彦は、旧家の次男坊。

厳しい祖母と心を病んだ父、働き者の母と兄と妹の6人家族。

父は教職にありながら、「この戦争に勝てない」と発言したために、
戦争中は、大変な困難を強いられます。

いずみくん
いずみくん

良彦さん

家族に反発心を

常に感じてます

実は、祖母や両親の愛情を受け、守られてきたことに気づくのは、大人になってから。

こがねの
こがねの

子供なんてそんなものよね

ちょっと分かりづらい

愛情表現なんだけど・・

大人の皆さんなら、きっと、祖母や両親の気持ちが、痛いほどよくわかるのではないでしょうか?

大人が楽しむ本としては、最高の1冊。

ぜひ、手に取ってみてくださいね。

さて、この父、良一は、関東大震災で目にしたものがきっかけで、心を閉ざしてしまいます。

今日は、『第四話 御真影 昭和二十六年』より、人が攻撃的になることについて、考えてみたいと思います。

今起きている戦争もネットの誹謗中傷も根っこは同じ

どれだけ普段は平静を装っていても、一皮むけば、人の心は醜くあさましい。自分のことだけで一杯で、容易に周囲を攻撃するようになる。(中略)
学問を無力化させるのは、全体主義ではない。
恐怖心もまた、培ってきた教養や知識を呆気なく麻痺させる。

(第四話 御真影 昭和二十六年)

関東大震災の時、旧制中学で働いていた良一。

夜、表に出ると、若い朝鮮半島出身者に暴行を加えている人たちを目にします。

いずみくん
いずみくん

様々なデマが飛び、

朝鮮半島出身者の方々が

酷い目に遭わされました

良一は、ある出来事のせいで、暴行には加わらずに済みました。

しかし、もし、このまま地震の恐怖や苛立ちが長引いていたら、
自分も暴行に加わっていたのではないか
と恐怖に陥ってしまいます。

学歴も高く、民主主義も理解し、ましてや教師である自分が・・

いずみくん
いずみくん

学歴って何だか無力ですね

こがねの
こがねの

冷静に判断したら、

まちがっていることだと

わかるんだけどね

どんなに学問を積んで、揺るぎない判断ができると思っていても、
人間って自分の命が脅かされると思うと攻撃的になってしまうですね。

こがねの
こがねの

今、起きている世界中の争いも

そうなのかな?

戦争だけじゃなくても、身近なところでも潜んでいそうですよね。

例えば、ネットの誹謗中傷とか・・・

攻撃的な人は、今、何かに怖がっていて、イライラしている

だから、身に覚えがない人の攻撃は、自分が悪くない可能性が高いかも・・・

いずみくん
いずみくん

深く傷つかなくていい。

無視していい。

酷い時は、相談しましょう

どんなにできた人物でも、命の危険を感じれば、
思いもよらない暴力行為に出る可能性があるということを、知っていることが大事

だと、この本から学びました。

こがねの
こがねの

自分にもその凶暴性があると、

知っているだけでも大違い

できることなら、暴力行為が起きないよう、恐怖や苛立ちの少ない世の中だと良いですね。

こがねの
こがねの

まずは私が

誰かのイライラの種に

ならないよう発言に

気をつけま〜す

まとめ

・『恐怖と苛立ち』が人間の凶暴性の引き金になる。そんな時、学歴は無力

・少しでも恐怖とイライラが少ない環境を自ら作ろう

『星影さやかに』古内一絵 | 単行本
「マカン・マラン」著者が描く感動のファミリーヒストリー 非国民の父と軍国少年の息子。父が残した日記から浮かび上がる真実とは。宮城県古川を舞台に描く戦中戦後を懸命に生きた家族の物語。

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