コロナ医療に臨む医師たちの現実を知っておくことは大事だと思う
著者 夏川草介 出版社 小学館
発行日 2022年8月23日
どんな話?
著者は1978年生まれ。長野県で地域医療に従事。
消化器、肝臓の専門医。『神様のカルテ』の著者でもあります。
物語は、令和2年2月。長野県の呼吸器内科医も感染症医もいない地域病院『信濃山病院』が、公立病院であるがために、新型コロナ患者の受け入れを決めたところから始まります。
『レッドゾーン』とは、防護服なしでの立ち入りが禁止されたコロナ患者が入院している領域のこと
当初から関わるの三人の医師のうち二人は、消化器と肝臓の専門医。
いずれも著者の専門というところは、著者の体験談でしょうか?
報道では伝わらない葛藤が伝わってきます。
コロナ禍での医療現場で何が起きていたか?
誰もが知っておきたい事実です。
人間味溢れたこの作品から、触れてみてはいかがでしょう?
尚、この本より先に『臨床の砦』という作品が出版されていますが、
これより数ヶ月後の話です。
こちらを先に読むことをお勧めします。
私たちが知らないコロナ禍の医療現場で起きていたこと
1.チームには、ネガティブ思考とユーモアセンスの持ち主が必要
「コロナ診療は、使命感だけで突き進むには危険すぎる現場です。確実にブレーキをかけてくれる先生のような存在が必要だと考えました。危険なものは危険だと、突き進むことだけが正しいわけではないということを、はっきり言えるのは先生だけだと思ったのです。」
(レッドゾーン)
基礎疾患のある40代後半の肝臓専門医が、コロナ診療チームに選ばれます。
コロナ診療に堂々と反対を唱えているのに・・
そもそも、仕事にもそれほど熱心ではないし、皮肉屋でネガティブ。

なんでそんな人が選ばれるのかしら?
理由がありそうね
この未知の医療は、情熱だけで突き進んだら、共倒れする。
だからこそ、誰にも忖度せずに、思ったことをサラッと言える人が必要だったのです。

危険が伴うときは、必ず
ストッパーの役割を果たせる人が必要なのね。
ネガティブだからと切り捨てず、きちんと耳を傾ける大切さを学びました。
嫌なこと言うな・・と思う前に、ストッパーの役割を果たしてくれてないか、
1度考えるようにしようと思います。
その後、彼は、存分にユーモアを交えながら、この役割を全うしていきます。
事情を知らない人には、なかなかヘビーですが・・

彼は、読者にとっても
ホッとする存在なのよね!
ユーモアって大事!
2.専門外の医師がコロナ診療に手を上げるには相当の覚悟が必要だった
「相手は未知のウイルスです。誰も診たことのない疾患なら、普段は頭を使わない外科医でも、なんとかなるでしょう」
(パンデミック)
外科医は、一度、呼び出しを受け、コロナ病棟に行きました。
そこで、悲惨な状況を目にし、ついにコロナ診療チームに手を挙げます。
外科医なので、知らん顔もできたのですが・・

初期の頃は、内科医が主に診察していたんですね。
それ以外は、平常通りだった・・へぇ〜
その後、段々、他の専門医たちも選択を迫られるようになります。
誰も知らないウイルスだから、専門も関係ないからと。

うーん。辛かっただろうねぇ。
専門外は怖いし、かといって、
堂々とやりたくないとは、言いづらいね。
何より、びっくりしたのは、診療方法が全国で共有されなかったこと。
患者の守秘義務からと言うのが理由。

医師も患者も恐ろしい状況だったんですね
各病院が手探りだったことがわかります。
医学部時代の友達の情報とか診療の経験が頼りだったこと、この本で知りました。
今は、もう医療現場はこのような状況ではないと思います。
でも、あの時、患者が出ると、落ち着いてはいられなかった私たちの行動も
守秘義務に拍車をかけてしまったのではないかと思うと、心苦しいです。

こんな状況下になったら、
人間も報道も冷静を取り戻す努力が必要ね。
続きはこちら・・・
この本で学んだこと <まとめ>
・未知のものは怖い。不安な気持ちも大きい。だからと言って、人を傷つけていいわけではない
・情熱だけでは物事乗り越えられない。ユーモアや皮肉だって必要なのだ
⭐️こちらのサイトより、Amazonや楽天など、お気に入りの店で購入できます
コメント