女子刑務所の現実を知り、自分にできることを考えてみる1冊
著者 垣谷美雨 出版社 小学館
発行日 2023年6月6日
どんな本なの?
舞台はなんと女子刑務所!
(小学館公式サイトより)
「後悔病棟」「希望病棟」に続くシリーズ第三弾!
神田川病院の“金髪女医”太田香織と看護師・松坂マリ江は、ひょんなことから女子刑務所に派遣される。当初は、受刑者との距離を感じていたが、同僚から授かった不思議な聴診器を胸に当てると――
惣菜四三〇円の万引きで懲役二年を科せられていたり、夫からの執拗なDVに耐えきれず殺害に及んでいたり、はたまた悪い男にそそのかされ、クスリに手を出していたり、と彼女たちの切実な事情が見えてきた。
二人は受刑者たちとは個人的に接してはならないという禁を破り、あっと驚く方法で解決に乗り出してゆくが……。
患者に聴診器を当てると、胸の奥底に秘めている心の叫びが聴こえてくる・・

つくづく病は、心と繋がっているな
と、思い知らされます
そんな受刑者たちの心を救うべく、塀の外の家族たちとの関係を取り戻したい。
女医の香織と看護師のマリ江を中心に、同僚たちをも巻き込んで、奮闘する物語です。

まあ、この香織さん
面倒なお願いが多いのですが、
なぜかみんな巻き込まれていきます
さて、受刑者たちの罪状は、
万引き・殺人・クスリ・放火とさまざまです。
が、共通する点が一つだけ

こんな男性に出会わなければ、
もっとステキな人生が送れてたはず・・
決して、生まれながらの『悪』ではないこと。
本人以外のところに原因がある場合も多いことに気付かされます。

ところで、このお話。
かなり、刑務所内をリアルに
再現していると言われてますが・・
刑務所内は、決して環境の良いものではありません。
それでも、刑務所の方がいいと再犯を繰り返す者も後を立ちません。
どうやら、世の中にも問題があるようです・・・

刑務所内でも、家族の反応次第で
幸せに優劣があるんですね
少し考えてみましょう・・
犯罪に手を染めると、その後の人生は過酷。まずは犯罪者を作らないことが大事!
住む所さえあれば、どれだけ再犯が減るだろう。
(第五章 受刑者からの手紙)

この本を読んで知ったのですが、
家も仕事もないから、結局再犯に
至ってしまうそうです
62歳の清子は、惣菜430円で懲役2年。

430円で・・・
身元引受人がいないので、
早く出ることができません
似たような高齢の受刑者が多く、もはや
『そこだけ写真に切り取ったら老人ホームに見える』
というまでの状況です。

刑務官も激務で、
4割が1年未満で
辞めてしまうそうです
しかし、現実社会は、再び、社会に出てからのシステムが、全く整っていないそうです。
まず出所してすぐに家を借りることができません。
「報奨金は出所するときに支払われるんでしたね」
(第二章 殺人犯)
「うん。受刑者の六十五パーセントが5万円以下だってさ」
「だったらアパートも借りられないですね。・・・」

2、3日、雨、風防ぐ
くらいの金額ですね
また、仕事にすぐつけるような刑務作業ばかりではないようです。

最近は、後継者のいない技術を
刑務所で・・という、試みも
行われているようです
確かに、一緒に仕事をするのが元受刑者と言ったら、怯んでしまうというのも正直なところ。
社会全体で受け入れ体制ができていないというのも無理もありません。
誰もが受刑者たちを差別せずに受け入れられる社会を・・は、それぞれの考えもあり、難しい。

努力できたら良いですね
そんなことも踏まえながら、社会の仕組みも1日でも早く整えば良いなぁと思います。
しかし、私たちにも、できることがあります!
それは
自らの言動で、犯罪者を作らないこと
この作品の中の受刑者たちも、心温かな人や言葉に出会っていたら、多分このような境遇には陥らなかったのでは・・と、思います。

できるだけ和顔愛語で
人と向き合いましょう
自分の冷たい言動や意地悪な行いが、犯罪者を作るかもしれない・・常に心がけていたいものです

間違っても、誰とでも喧嘩なんか
しないでくださいね!
まとめ
・自分の言動に気をつけることが、犯罪者を増やさないことにつながるかもしれない
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